目黒区学校歯科医会 学術講演会報告

報告者 副会長・広報委員会担当 上保 基

  報告者 上保 基

 去る平成30年2月20日(火)に目黒区学校歯科学術講演会が開催されました。講師には東京歯科大学微生物学講座教授の石原和幸先生をお招きし、“口腔細菌からみた予防”と題して講演を頂きました。
我々人間のあらゆる場所には人の細胞数の10倍の細菌が棲み付き、その集合体である細菌叢は人と共生状態にあるため常在細菌叢と呼ばれています。口腔内にも特有の常在細菌叢が存在し、700種に及ぶ細菌が複雑なコミュニティーを形成しています。しかし一旦このバランスが崩れ、細菌叢を構成する菌種が変化するとウ蝕や歯周病が発生します。
 
 

      石原 和幸 教授

 ウ蝕は細菌の代謝に必要な酸の産生により歯の脱灰が起こりますが、それにはとくに細菌の歯表面への付着能力がカギとなります。歯周病はウ蝕ほどその仕組みが明らかではありませんが、宿主因子、生活習慣や歯周病原因細菌の作用により引き起こされます。主な原因菌としてAa, Pg, Tf, Tdが知られていますが、それらの菌が起こすというよりもこれらの菌の増加した病原性の高い菌叢へ変化すること(dysbiosis)がその原因と考えられるようになってきました。

 さらに近年、ウ蝕や歯周病の関連菌は全身にも影響を及ぼし、細菌性心内膜炎、動脈硬化、誤嚥性肺炎、糖尿病、低体重児出産などとの関係性が解明されています。とくに高齢者の口腔内はカンジダや緑膿菌が増加してくる傾向にあるため、口腔ケアが益々重要になってきます。
 

       講演会の様子


 
 ウ蝕や歯周病は細菌そのものが原因というよりも細菌叢のバランス変化により発生すること、また口腔内細菌と全身疾患との関連性が明らかになりつつある現在、歯科の重要性が増してくる、と締めくくられました。
 

       質疑応答の時間

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