第69回関東甲信越静学校保健大会参加報告

第69回関東甲信越静学校保健大会参加報告 目黒区学校歯科医会 清田 俊一

1.期日 平成30年8月23日(木)

2.開催地 群馬県高崎市 会場 群馬音楽センター

3.目的 幼児・児童・生徒の心と体の健全な発育・発達を目指し、健康教育の当面する課題について研 究協議し、その具体的な方策を究明するとともに、健康教育の充実と発展に資する。

4.主題 未来を創造し、たくましく生きる力をはぐくむ健康教育を目指して

5.主催 群馬県教育委員会、群馬県学校保健会、高崎市教育委員会、(公財)日本学校保健会

6.内容
全大会
(1) 開会式
・開会あいさつ 大会実行委員会会長 群馬県学校保健会長
・来賓あいさつ 公益財団法人 日本学校保健会
・開催市あいさつ 高崎市

(2) 特別講演
演題 「スピードスケートが教えてくれたこと~自分を信じ、仲間を信じ~」
講師 黒岩 敏幸氏 (アルベールビル冬季五輪スピードスケート銀メダリスト)

7.班別研究協議会
(1)課題及び協議内容
【第1班】 学校経営と学校保健
課題 「教育目標具現化を目指す学校保健」
協議内容
①児童生徒の豊かな心と、たくましく生きる力をはぐくむ、組織的な学校保 健活動の在り方
②家庭及び地域社会との連携による学校保健委員会の在り方
【第2班】 健康教育
課題 「生きる力をはぐくむための健康教育」
協議内容
①豊かな心をもち健康な生活を実践する児童生徒の育成を目指した健康教育 の進め方
②生きる力をはぐくむ食に関する指導の在り方
【第3班】 性に関する指導・エイズ教育及び薬物乱用防止教育
課題 「適切な行動選択の力を育てる性に関する指導・エイズ教育及び薬物乱用防 止教育」 協議内容
①家庭、地域と連携し、発達段階に応じて計画的に実在する性に関する指導・ エイズ教育の在り方
②適切な意志決定と行動選択のできる力をはぐくむ薬物乱用防止教育の在り 方
【第4班】 学校歯科保健
課題 「生活習慣病の予防等を目指した歯・口の健康づくり」
協議内容
①歯・口の健康づくりの日常化を目指す学校歯科保健指導の在り方
②家庭及び地域社会との連携による歯科保健活動の在り方
【第5班】 学校環境衛生と安全教育
課題 「快適な学校環境づくりと実践力を高めるための安全教育」
協議内容
①安全で快適な学習環境づくりを目指す学校環境衛生活動の進め方
②家庭や地域社会と連携し、児童生徒が自らの安全を確保する能力や態度を 育てる安全教育の進め方

(2)その他の関係会議
・班別研究協議会運営会議
・11都県代表者準備会議
・職域部会

8.班別協議会参加報告
第4班(学校歯科保健)に参加した
〇歯・口の健康づくりの日常化を目指す学校歯科保健指導の在り方
~自律的な健康づくりができる生徒を目指して~
新潟県長岡市立旭岡中学校 養護教諭 浅井里恵子
(1)実践の概要
①学級活動での保健学習
(A)衛生士による指導(全学年)
(B)歯みがき点検(全学級)
(C)健康パワーアップ運動
②生徒保健委員会の活動
(A)「歯っぴー運動」での取組
(B)健康パワーアップ運動・衛生検査の取組
③日常指導
(A)給食後の歯みがき
(B)掲示物での環境づくり
④歯科検診と事後指導
(A) 検診後の治療勧奨と有所見者への個別指導
(B) よい歯の生徒の表彰
⑤保護者や地域との連携
(A)保護者との連携や啓発活動
(B)学校保健委員会
(C)校区小学校との連携

(2)成果と課題
①成果
(A) 全校で取り組む給食後の歯みがき
(B) 専門の講師による指導・指導の工夫
(C) 歯垢染出しによる歯みがき点検
(D) 保健委員会活動との連携
②課題
(A) 生徒の知識や関心を高めるため、指導機会の設定や指導方法を工夫する
(B) 未受診者などの生徒への個別指導
(C) 保護者とのさらなる連携
(D) 校区小学校との連携強化

【質疑・応答】
Q.外部講師として歯科衛生士を招く時の費用は、どうしていますか
A.衛生士と回数・時間などを直接話して決めています

Q.歯みがき指導の時間の確保は、どうしていますか
A.昼休みにクラス単位で保健室へ呼んで染出しを行い、歯みがきの評価をしています

Q.10月からのフッ化物洗口の実施について、保護者への理解はどうしていますか
A.保護者へ向けてのフッ素の説明会を実施した後、希望者を対象とする予定です

【助言】
育てたい能力を明確にして指導計画を立てることを検討していただきたい

〇PDCA サイクルで進める つながる歯科保健活動
静岡県富士見市立富士宮第二中学校 養護教諭 荘司奈緒
(1)取組の概要
①平成28年度
[P] 児童生徒が歯みがきの習慣を身につける
[D] ①給食後の歯みがきタイム
②小中合同歯みがきチェック
③歯の健康教室
④家庭歯みがきチェック
⑤歯科健康診断結果のお知らせと受診勧奨
[C] ・給食後の歯みがきが小中ともに定着してきた
・歯科健康診断後の受診率が向上した
・一年間の取組の成果は、次年度の歯科健康診断結果を見て評価する
[A] ・平成28年度の取組を継続させ、定着化を図る
・歯科保健活動を児童生徒の自主的な働きかけによって広げる
・学校保健委員会を「歯や口の健康」をテーマに開催する

②平成29年度
[P] 歯や口の健康への意識を高め、自ら歯を大切にする
[D] ①前年度からの取組の継続
②保健委員会児童が歯みがきの替え歌を作成
③学校保健委員会
④学校歯科医との話し合い
⑤保健センター保健師との情報交換
[C] ・給食後の歯みがきが前年度より定着した
・歯科健康診断後の受診率は前年度と比較して少し下がったが、市内平均を上回った
・小中ともに DMFT は減少したが、GO・G 罹患率は市内平均を上回ったままである
・取組2年目となり活動がスムーズに進み、児童生徒が自主的に動く姿がみられる
[A] ・平成28年度からの取組を継続させ、定着化を図る
・小中、家庭、地域社会と連携し、地区の歯科に関する健康課題の解決に取り組む

(2)成果
・歯科健康診断の結果、口腔内環境は全体的に良い方向に向かっている
・PDCA サイクルに沿って取り組むことで、課題の共通理解や組織的・継続的な活動につ ながった
・小中学校が抱える健康課題は、地域が抱えている健康課題と重なることが多い。小中学 校で連携して取り組んでいることは、地域との連携にも効果的であった
・小中学校のグランドデザインの中にも「歯と口の健康づくり」を重点とすることが明記 され、学校全体の取組として定着してきた

(3)課題
・健康課題は成果が出るのに時間がかかるものも多く、取組を継続させることが難しいと感じる
・これからも健康づくりの楽しさを子どもが感じることができる保健活動を組織的に推進していきたい

【質疑・応答】
Q.小中合同の歯みがきチェックは具体的にどのように行っていますか
A.前日に明日行われる歯みがきチェックに関して放送を流し、小学校と中学校の養護教諭が打ち合わせをする。チェックに関して低学年は担任、中高学年は委員会の児童が行う。それを集計して表にしている

Q.歯ブラシ持参についてはどのようにしていますか
A.入学説明会時に歯みがきセットを持ってくるように伝える。また、保健だより  でも伝えている

Q.市の保健師さんとのきっかけは何ですか
A.たまたま地区担当の保健師さんから連絡をいただいたことがきっかけで、小中  養護教諭と保健師さんとの情報交換をするようになった

【助言】 義務教育9年間を使って、歯ブラシ技術の向上を目指していただきたい

目黒区学校歯科医会 学術講演会報告

報告者 副会長・広報委員会担当 上保 基

  報告者 上保 基

 去る平成30年2月20日(火)に目黒区学校歯科学術講演会が開催されました。講師には東京歯科大学微生物学講座教授の石原和幸先生をお招きし、“口腔細菌からみた予防”と題して講演を頂きました。
我々人間のあらゆる場所には人の細胞数の10倍の細菌が棲み付き、その集合体である細菌叢は人と共生状態にあるため常在細菌叢と呼ばれています。口腔内にも特有の常在細菌叢が存在し、700種に及ぶ細菌が複雑なコミュニティーを形成しています。しかし一旦このバランスが崩れ、細菌叢を構成する菌種が変化するとウ蝕や歯周病が発生します。
 
 

      石原 和幸 教授

 ウ蝕は細菌の代謝に必要な酸の産生により歯の脱灰が起こりますが、それにはとくに細菌の歯表面への付着能力がカギとなります。歯周病はウ蝕ほどその仕組みが明らかではありませんが、宿主因子、生活習慣や歯周病原因細菌の作用により引き起こされます。主な原因菌としてAa, Pg, Tf, Tdが知られていますが、それらの菌が起こすというよりもこれらの菌の増加した病原性の高い菌叢へ変化すること(dysbiosis)がその原因と考えられるようになってきました。

 さらに近年、ウ蝕や歯周病の関連菌は全身にも影響を及ぼし、細菌性心内膜炎、動脈硬化、誤嚥性肺炎、糖尿病、低体重児出産などとの関係性が解明されています。とくに高齢者の口腔内はカンジダや緑膿菌が増加してくる傾向にあるため、口腔ケアが益々重要になってきます。
 

       講演会の様子


 
 ウ蝕や歯周病は細菌そのものが原因というよりも細菌叢のバランス変化により発生すること、また口腔内細菌と全身疾患との関連性が明らかになりつつある現在、歯科の重要性が増してくる、と締めくくられました。
 

       質疑応答の時間

第81回 全国学校歯科保健研究大会参加報告

報告者 目黒区学校歯科医会会長  益山純太

1.開催期日 平成29年10月26日(木)・27日(金)	

2.開催地  青森県青森市

3.会場   リンクステーションホール青森(青森市文化会館)

4.目的   幼児、児童生徒、学生ならびに教職員の健康の保持増進を図るため学校歯科保健に関する調査研究を行うとともに、学校保健の普及および振興に努め、もってその円滑な実施に寄与する。

5.主題   「生き抜く力」をはぐくむ歯・口の健康づくりの展開を目指して
          -学校歯科保健からはじまる8020健康社会―

6.趣旨   21世紀は「健康の世紀」といわれており、医療の潮流は治療から予防へシフトし、「健康社会」の確立に向けた宣言が全国の組織・団体で行われている。全国では8020達成者の増加や子供たちのう蝕の減少など、国民の歯と口の健康状態は改善しているが、一方で歯肉炎の増加や咀嚼機能の低下など、子供の頃からの生活習慣に起因すると思われる課題も見えてきた。本大会では、子供たちの健康格差を少しでも解消し、将来に「希望」がもてる学校歯科保健活動を議論することにより、健康寿命への延伸に寄与する「8020健康社会」の実現を目指す。

7.主催   文部科学省、一般社団法人日本学校歯科医会、公益財団法人日本学校保健会、一般社団法人青森県歯科医師会、青森県、青森県教育委員会、青森市、青森市教育委員会

8.全大会
       1)開会式  日本学校歯科医会会長挨拶
       2)表彰式  文部科学大臣賞(6校・園)
              日本学校歯科医会会長賞(8校) 
              日本歯科医師会会長賞(11校・園)
              奨励賞(107校・園)
       3)基調講演 「健康長寿社会の実現に向けたライフコース・アプローチ」
                 講師 東北大学大学院医学系研究科公衆衛生分野教授 辻 一郎
*講演要旨
 社会環境の変化が個人の行動に変容をもたらす。個人の生活習慣は社会環境や時代の価値観による影響を大きく受けている。その点を重視して「健康日本21(第2次)」では「健康を支え、守るための社会環境の整備」ということを5つの基本的方向の1つに位置づけた。
 厚生労働省の「国民健康・栄養調査」の結果からみても分かるように、人々の生活習慣に影響をおよぼす要因は、社会経済的要因である。健康格差は、所得の少ないものほどその影響をうけており、これは、成人だけの問題でもない。学校教育を通じて、子供たちに健康的な生活習慣を身につけさせ、健康に関する知識を与えるとともに健康リテラシーを育てることは、健康格差を減らしていくうえでも重要なことである。
 個人の自覚と努力による行動変容からなる従来型の健康づくりでは、弱者の健康ニーズは潜在化し健康格差は拡がる一方となる。少子高齢化の進む中、ライフコース・アプローチという考え方のもとで胎児から幼少期、そして成人期と高齢期までを通貫した健康づくりとともに、個々人の健康づくりを支える社会環境の整備が重要である。

9.シンポジウム
  「口腔機能の健全育成を求めて」のねらい
       座長  明海大学学長 安井利一
    発表3題が行われた

10.領域別研究協議会
  1)幼稚園・認定こども園・保育所部会
       座長 北海道医療大学歯学部口腔構造・機能発育学系小児歯科学分野教授 齋藤正人
    発表2題が行われた
  2)小学校部会
       座長 東北大学大学院歯学研究科小児発達歯科学分野教授 福本敏 
    発表2題が行われた
  3)中学校部会	
     座長 北海道医療大学歯学部歯科矯正学分野教授 溝口到
    発表2題が行われた 
  4)高等学校部会
       座長 東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野准教授 相田潤
    発表2題が行われた
  5)特別支援教育部会
       座長 奥羽大学歯学部口腔衛生学講座教授 瀬川洋
    発表2題が行われた

11.領域別研究協議会報告
   小学校部会に参加したので、東北大学大学院歯学研究科小児発達歯科学分野 福本敏教授の基調講演「口腔機能の育成を目指した小学校での歯科保健活動の実際について」と、長野県立諏訪市立四賀小学校 伊東初枝養護教諭、青森県三沢市立上久保小学校 高田美香保健主事の発表について報告する。

*講演要旨
 口腔機能には、咀嚼、嚥下といった機能に加え、発音や笑うといったコミュニケーションに大切な機能も含まれる。それぞれにおいて歯の役割は大きく、むし歯の無い口腔環境の育成は極めて重要な課題であ    る。むし歯は、その個人の生活スタイルや行動を反映するものであり、生活環境の改善から取り組まなければ、むし歯の発生リスクを完全に抑えることはできないという現実を十分に理解し、歯科保健活動を推進していく必要がある。
 現在では、いわゆる「むし歯の二極化」が生じており、むし歯のない児童が増加している一方で、多数のむし歯を有する児童も増加しており、このむし歯を多数有する児童に対する対策が急務と考えられる。このような場合、個別指導が大切との視点になりがちであるが、個別指導が行いにくいという生活環境も踏まえ、学校における集団指導の中での対応が重要となる。
 砂糖の摂取に関した間食指導は極めて重要であり、肥満の予防にも効果的である。WHOは液体物からの砂糖の摂取に関して緊急指針を提言した。成人において1日250ml(砂糖で25g)以下にするよう提言されているが、日本の6~11歳では78.7gと過剰摂取されている。エビデンスに基づいた知識の中で、清涼飲料水からの水分補給を適切なレベルになるよう指導する必要がある。これらのことを実践することで、むし歯予防のみならず肥満や糖尿病予防へ発展させることができる。
 毎日児童と接する教職員の口腔保健に関する知識の向上は、学校での歯科保健の推進の成否に大きく影響する。近年の医学研究の急速な発展や医療技術の向上と、インターネットの普及により、専門家からのアップデートされた情報を学びやすくなった。これらの情報を学び、学校指導の現場に反映させることが大切である。
 小児期における摂食や嚥下機能の低下や全身の運動機能の低下は、高齢化した際の機能低下をますます加速化させる要因となるため、早期に対策を講じる必要がある。今後、より高い歯科保健指導について議論されることが期待される。

発表1「知恵をみがく・心をみがく・体をみがく~学校歯科医・歯科衛生士・歯科ボランティアとの連携」
                        長野県立諏訪市立四賀小学校養護教諭 伊東初枝
   学校教育目標の具現化のため「みがく」をキーワードとし、「知恵をみがく・心をみがく・体をみがく」を重点目標としている。教育課程でも、健康な心と体を育てる健康教育を重点とし、歯・口の健康つくりを中心とした心と体の健康つくりに全校で取り組んでいる。歯科保健では、自分の歯・口の状態を知り、自分に合ったみがき方を身につけて、心も体もみがきつづける子供の育成「歯みがき名人になろう」を目標にしている。
学校歯科保健活動として以下のことを行っている。
(1)歯と口の学習をすすめよう
① よい歯の講演会
② 全学年での歯科保健授業
③ 年5回の歯ッピータイム
④ 児童活動として、毎日の歯みがき、6月の歯みがき旬間、11月の歯と口の健康週間、歯ッピータ
イム、8のつく日の歯の日、3のつく日の歯みがきサンバの日
⑤ 食育との連携

(2)ペアや地域の人にも教えよう
① ペアによる歯の染め出し
② 地域への発信
③ 歯ッピー教室

(3)歯みがきの技術の向上をめざそう
① 毎日の歯みがき指導
② 毎週のフッ化物洗口
③ 個別ブラッシング指導
④ 毎年の口腔写真撮影
⑤ 歯の日・歯みがきサンバの日
⑥ 家庭との連携、6年間蓄積する「歯ッピーブック」、歯のカルテ、歯みがきカレンダーと自己評価、
夏休み親子染め出し、年3回のピカピカチェックによる家庭での点検、年5回の歯ッピーだより

(4)学校歯科医・歯科衛生士・歯科ボランティアとの連携
① 歯科ボランティアの活動
② 歯みがき講習会
これらの継続した活動の結果として、本校のDMF歯数は、平成29年度集計で0.12となった。年間を通して、非常に多くの口腔衛生のための事業が行われている。その結果として、0.12のDMF歯数がある。子供たちの将来のために地域全体で取り組んでおり、子供たちも自らの力で取り組んでいる。

発表2 自分の心と体に関心をもち、進んで健康づくりに取り組む児童の育成
~歯・口の健康づくりをとおして~
                         青森県三沢市立上久保小学校保健主事 高田美香
    本校の教育目標は、「かしこくあれ、やさしくあれ、たくましくあれ」である。努力目標の「健康・安全に関心をもち、心身をきたえる」を受け、「元気パワーアップの学校」を目指している。重点取り組み事項として「早寝・早起き・朝ごはん・歯みがき」等の基本的生活習慣づくり、食育の充実、健康自己管理指導に取り組んでいる。学校保健目標として「自分の心と体に関心をもち、進んで健康づくりに取り組む児童の育成」を目指している。歯・口の健康づくりに関して、自分で健康づくりをしようとする子供を育てたい。
    (1)目指す目標は以下の通りである
     ① 歯垢を残さない適切な歯みがきができている
     ② 90%以上の児童が寝る前に歯みがきをしている
     ③ 良く噛んで食べる習慣がついている
     ④ むし歯になりにくいおやつを選び、間食後に歯みがきをする習慣がついている
     ⑤ むし歯を治療している
     ⑥ 新しいむし歯ができない
     ⑦ 歯ブラシの取り換え時期がわかり、取り替える事ができる 

    (2)歯・口の健康づくりの実際である日常の活動として
     ① 毎日の給食後の歯みがき
     ② 毎週のフッ化物洗口(三沢市では、平成12年から小中学校の児童生徒のフッ化物洗口を推奨しており、平成15年からは保育園、幼稚園の4歳以上の幼児においても行われる。現在の三沢市のほとんどの小中学生が4歳からフッ化物洗口をしていることになる。洗口液の処方は学校歯科医、調合は学校薬剤師が行い前日に学校へ届けられる。)

    (3)歯・口の健康づくりに関しての年間計画は以下の通りである
     ① 5月 全児童への生活習慣アンケート 
                 歯科健康診断
     ② 6月  各学年の歯みがき指導(各学年ごとにテーマを決めている)
          全国小学生歯みがき大会への参加
          むし歯治療勧告1回目
          親子すこやか研修会(参観日に学校歯科医から歯の健康についての講話)
     ③ 7月 夏休み歯みがきカレンダー
     ④ 9月  各学年むし歯ゼロ大作戦
     ⑤10月 各学年むし歯ゼロ大作戦
     ⑥12月 むし歯治療勧告2回目
              冬休み歯みがきカレンダー配布
     ⑦ 2月 キラリ歯みがき週間
    これらの活動を通し、正しい歯みがきが習慣となり、児童が進んで自分の歯を大切にする実践力を身につけたことにより、平成28年度の本校でのDMF歯数は三沢市平均を上回り、0.27となった。歯の健康は全身の健康に影響があることを学び、児童と保護者が一緒になって健康について考える機会をもつことができた。

12.本大会に参加して
   2日間にわたる全国規模の歯科保健大会であったが、シンポジウム、領域別研究協議会においての発表はすばらいしものであった。それぞれの教育機関においてそこに係るすべての人が幼児、児童生徒、学生の歯・口の健康づくりのために進めてきた地道な努力の積み重ねの結果であろう。地方と都会、地域としての社会的同一性など、各々の置かれた立場による違いはあるにせよ、一つの事業を行うに際しそこに係る人びとの合意がなければ達成するのは困難なものである。発表された教育機関の方がたに、深甚なる敬意を表する次第である。


平成29年度目黒区養護教諭・学校歯科医会合同研修会報告

報告者 副会長、広報担当:上保 基

平成29年12月6日に目黒区立小・中学校養護教諭との合同研修会が目黒区歯科医師会館にて開催されました。
講師には東京医科歯科大学大学院小児歯科分野、准教授 宮新美智子先生をお招きし、“子どもの歯と口の外傷-応急処置と治療経過について”という題でお話しいただきました。
先生のお話しはとても平易な言葉で分かりやすく、例を入れながら専門家ではない養護教諭にも理解しやすく講演していただきました。


その中でポイントは
1. お口のケガをしたら、まず確認すること
① 眼の周り内出血の有無→失明の可能性 (眼の周りがパンダになっていないか?)
② 耳の後ろの内出血の有無→脳へのダメージの可能性

2. 外傷歯への応急処置-安心して食事ができることが回復の源:歯の位置の改善、破折部
の被覆、固定、感

染予防
歯が抜け落ちた時の原則
① 元に戻す-乾燥させないこと!!
学校や外出先で抜けた場合、多少汚れていても問題はなく、早く元に戻すことが大切である。そのまま保存しておく場合には乾燥させないこと。
保存法:ラップに包む-1時間以内
牛乳:12時間以内 アレルギーの問題があり、現在はお勧めしない。
保存液:48時間以内
② 破折した部位を被覆、固定
③ 感染予防

3. 保護者への対応
子どもが歯を失うことに保護者は“怒り”と“困惑”で過剰な反応を示す。
原因は情報が少ないことで、教諭、歯科医師は保護者を安心させることが大切。
*応急処置後、半日~1日後に歯肉や口唇の腫れが起こり、痛みを感じることがあることを事前に説明すること!

4. 外傷の経過
歯の外傷後、歯根吸収(1ヵ月後)、歯髄壊死(3ヵ月後)、乳歯の外傷の場合は継続歯への影響の可能性がある。遅れて様々な変化が出てくるので、受傷後1年は経過観察が必要である(CT検査がお勧め)。

講演後活発な質疑応答が行われました。

平成29年度城南ブロック学校歯科医研修会

開催日 平成29年9月7日 (木)
場所 きゅりあん 品川区立総合区民会館
報告者 目黒区学校歯科医会 副会長・広報担当 上保 基

 先日、品川学校歯科医会主幹による城南ブロック学校歯科医研修会が行われました。
そこで日本歯科大学附属病院小児歯科教授の内川喜盛先生が“乳幼児から考える学校歯科保健活動”と題し、とくに保育所、幼稚園、こども園での乳幼児の歯科保健活動の現状について講演されました。

 まず、
 “子供の歯の格差”と題して NHKニュースで放映された特集を取り上げられました。
虫歯がない子供達が多い一方、多数の虫歯があるにも係わらず、治療をせずに放置され、口腔崩壊の状態にある子供達も最近多く見受けられるようになってきた。子供の歯の状態は二極化時代に入っている。
このことを問題視し、社会全体で取り組んでいく必要があるという内容です。


 現在、東京都では小学校就学前の子供達は保育を目的とした保育所、教育を目的とした幼稚園、保育と教育両方の機能を持つこども園のいずれかに通っていますが、それぞれの管轄庁が異なる縦割りの状態となっています。そのために歯科健康診断や保健指導が統一されたシステムになっていません。
 そこでそれぞれの施設にアンケートを実施した処、より詳しい現状が見えてきました。

 *90%以上の施設で歯科検診や歯科保健指導が実施されているが、指導している職員が歯科の知識が余りない看護師や保育士が行っている施設があり、その結果の扱いは多様であった。


 *子供だけに歯科保健指導を行い、保護者、職員への指導は行っていない施設があり、特に保育所、こども園で低率だった。
 *保育所では歯科医師、歯科衛生士という歯科の専門職が係わらない施設が25%以上あった。
 *それぞれの施設の歯科保健活動について“満足”と解答したのは保育所が最も低く、その理由として、その活動に歯科専門職が係わっていないことが推察された。

 このような状況を把握、改善して行くことで“子供達の口腔崩壊という生涯に係わるリスク”を減少させたいと締めくくられました。

平成29年度臨時総会

平成28年度目黒区学校歯科医会総会の後、臨時総会が開催され新会長に益山純太会員が選任されました。
写真は新任の挨拶をする益山会長

養護教諭との合同研修会開催


 

drkoga1 12月8日、講師として矯正歯科専門でご開業の古賀正忠先生をお招きし、養護教諭と学校歯科医会の合同研修会が行われました。
“矯正歯科の話し”と題し、我々歯科医師だけでなく養護の先生方にも分かり易く基礎的な解剖の話しから歯列、顔の成長について、また不正咬合が子供達にとってどのような影響を及ぼすかなど約2時間に渡ってお話しいただきました。
特に先生は早期(7~9歳頃の混合歯列期)から開始する矯正治療の利点について強調され、以下の点を挙げられました。

1.歯列の成長を早期に正常な状態に方向付けできる
特に上顎前突(出っ歯)に対して
*外傷の予防
*口唇を閉鎖しやすくなり、鼻呼吸しやすくなる
*顔貌の改善
*永久歯列での矯正治療が非抜歯で行える確立が増える

 

2.口腔衛生情報の早期伝達ができる
小学生から早期に歯みがきの大切さや方法を教えられる

 

3.悪習癖の長期的訓練が可能
舌の悪い癖などを早期に気づかせ、その除去のための訓練を受け入れやすい

 

また、矯正治療における注意点も話されました。
* 装置装着直後に歯の痛みがあるが、数日で治る
* 矯正治療による歯根吸収の可能性について治療前の説明が大切である
* 不適切な口腔衛生によるカリエスリスクがあるため、治療中の衛生管理が大切である

 

最後に歯科の目標として
80歳になっても良い歯並びで20本以上歯を残そう!と締めくくられました。

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